2022-04-16から1日間の記事一覧

アピチャッポン・ウィーラセタクン『MEMORIA メモリア』 太古からの記憶の受信

『MEMORIA メモリア』はアピチャッポン・ウィーラセタクン(正式な日本語表記は アピチャートポン・ウィーラセータクン らしい)監督の2021年の映画である。人類の起源を含めた数千年以上前からの記憶を吸収し保存してきた自然があり、それがトンネルによっ…

アピチャッポン・ウィーラセタクン『真昼の不思議な物体』 接続されていくパーソナルな物語

『真昼の不思議な物体』 はアピチャッポン・ウィーラセタクン(正式な日本語表記は アピチャートポン・ウィーラセータクン らしい)監督による2000年公開の一作目である。 接続されていくパーソナルな物語 相手を失った男についてのラジオドラマが流れる中、…

アピチャッポン・ウィーラセタクン『Blue』 焚き火によって現出する存在

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の2018年の短編『Blue』について。森の中に寝ている女性に焚き火がオーバーラップする。同じ場所にスクリーンがあって2つの時代の同じ場所が描かれている。そのスクリーンにも焚き火がオーバーラップする。そして焚き火…

レオス・カラックス『アネット』 映画に映画の終わりを語らせる

映画に映画の終わりを語らせる映画として、レオス・カラックス監督2021年の映画である『アネット』について。演じることと笑わせることが対になる。演じることで観客の代わりに死ぬ妻と、観客を笑わせることで殺す夫。そしてその妻には自分の代わりに死んで…

コルネリュ・ポルンボユ 『トレジャー オトナタチの贈り物。 』 逃れられない袋小路

コルネリュ・ポルンボユ監督による2015年『トレジャー オトナタチの贈り物。』について。インタビューを元にこの作品を持つ意味を考えていく。映画に出てくる迷路みたいな打ち捨てられた庭は実際に存在していて、その中で監督達が暗くなるまで見つからない宝…

コルネリュ・ポルンボユ『ホイッスラーズ 誓いの口笛』 反体制言語としての映画

コルネリュ・ポルンボユ監督による2019年『ホイッスラーズ 誓いの口笛』について。体制からの逃避・解放というテーマを持つ作品であり、口笛言語=反体制側のサブリミナル的な意味を持つ映画を通して、主人公が今の社会ではないどこかへとヒロインに導かれな…

コルネリュ・ポルンボユ 『無限のサッカー』 社会の成り立ち / その理想

コルネリュ・ポルンボユ監督による2018年の『無限のサッカー』について。サッカーの新しいルール作りをルーマニア含めた世界の直近30年あたりの歴史と接続して、さらにはプラトンからキリスト教による封建社会の成立まで歴史的なスコープを広げて、そもそも社…