2023-01-16から1日間の記事一覧

反復と不可逆な変化 ー アンドレ・テシネ『証人たち』

アンドレ・テシネ(André Téchiné)による2007年作『証人たち(The Witnesses)』について。即興的に撮られたような映像とは対照的に、物語構造や人物設定は非常に構築的なものとなっている。 反復と不可逆な変化 この映画は、春から夏、秋から冬、マニュの…

ジャック・ベッケル『偽れる装い』における装うことの持つ意味

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1945年作『偽れる装い(Falbalas)』について。 装うことと映画監督 ファッションデザイナーであるフィリップは彼にとってのミューズを探し続けている。ミューズと見做した女性を見る時、フィリップは現実世界の…

『エドワールとキャロリーヌ』の姉妹作としてのジャック・ベッケル『エストラパード街』

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1953年作『エストラパード街(Rue de l'Estrapade)』について。 『エドワールとキャロリーヌ』との比較 話の骨格や緩いリズム感含めて『エドワールとキャロリーヌ』とほとんど同じ映画。『エドワールとキャロリ…

リズムのズレと断絶 ー ジャック・ベッケル『エドワールとキャロリーヌ』

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1951年作『エドワールとキャロリーヌ(Edward and Caroline)』について。 リズムのズレと断絶 上流階級出身のキャロリーヌと貧しいピアニストのエドワールは仲が良さそうに見えて、価値観が全く噛み合っていない…

迷宮、パリ、獅子座 ー エリック・ロメール『獅子座』

エリック・ロメール(Eric Rohmer)による1959年作『獅子座(The Sign of Leo)』について 迷宮、パリ、獅子座 音楽家志望で40歳を間近にした主人公は未だにモラトリアムにあり、自分から何かを解決しようとしない。それは主人公が占星術を信じその結果に従…