デンマーク映画

カール・テオドア・ドライヤー『ゲアトルーズ』 愛への信仰と自己の分裂

カール・テオドア・ドライヤー監督による1964年作『ゲアトルーズ』について。愛が全て、裏返せば愛以外がない、信仰もないし生きてもいないという女の人が主人公となる。恋愛と思考が両立し、恋愛の中で愛と官能が共存する。そしてその恋愛が永遠に維持され…

カール・テオドア・ドライヤー『奇跡』 受け継がれる信仰

カール・テオドア・ドライヤー監督による1954年作『奇跡』について。父、仕立て屋に代表される2つの宗派があり、対立している。どちらも自然法則に逆らえないと考えていることは共通している。インガの死が中心となるが、どちらの宗派にとっても、自然は神が…

カール・テオドア・ドライヤー『怒りの日』 信仰と対置・並列される魔術

カール・テオドア・ドライヤー監督による1943年作『怒りの日』について。教会による同化的・排他的な制度、婚姻制度によって抑圧された社会があり、魔女狩りが行われている。魔女狩りの根拠となる信仰が、実際に起こったのか不確かな魔術と同等に、この社会…

カール・テオドア・ドライヤー『裁かるゝジャンヌ』 覆い尽くすシステム

カール・テオドア・ドライヤー監督による1928年『裁かるゝジャンヌ』について。 システムとしての体制、人間としてのジャンヌ ジャンヌを神の啓示を受けた19歳の少女とする。そのジャンヌが体制にひたすら蹂躙されるように命と信仰のどちらをとるかを試され…