クシシュトフ・キェシロフスキ

クシシュトフ・キェシロフスキ『愛に関する短いフィルム』視線の反転

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年作『愛に関する短いフィルム』について。愛に対して理想的な人と現実的な人についての映画。主人公は自分、他者への解像度が低く、他者との関わり方がわからない。それゆえに愛を理想的に信じている。主人公が…

クシシュトフ・キェシロフスキ『殺人に関する短いフィルム』運命であると選択すること

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年作『殺人に関する短いフィルム』について。意図的に他者に対して嫌がらせをしているタクシードライバーがおり、より加害欲求を拗らせた存在として主人公がいる。それに対して社会の上層に属する存在として弁護…

クシシュトフ・キェシロフスキ『終わりなし』理想への逃避

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1984年作『終わりなし』について。当時のポーランドは共産主義体制下にあり、それに対して結成された組織が「連帯」であり、労働者を中心に民主化運動を行なっていた。その活動を体制側が刑罰や軍事力で強制的に封じ…

クシシュトフ・キェシロフスキ『偶然』分岐により浮かび上がる社会 / 人間

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1981年作『偶然』について。人生の目的を見失ってしまった主人公の運命が、電車に間に合うか、止められるか、乗るのを諦めるかによって三つに分岐する。そして一つ目の分岐では体制側(共産主義)へと、二つ目では反…

クシシュトフ・キェシロフスキ『アマチュア』メタ構造により反転する結末

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1979年作『アマチュア』について。表現を抑圧するものとして権力があり、ここではその権力は工場の上部となる。そして、その権力に対抗するものとして労働者が存在する。権力に抗い理想の表現を実現することに対して…

クシシュトフ・キェシロフスキ『トーキング・ヘッズ』社会 / 人生の普遍的なスナップショット

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1979年の短編『トーキング・ヘッズ』について。1980年という同じ年に、同じポーランドで1歳から100歳の異なる年齢の人々に対して、「あなたは誰ですか?」「あなたは人生に何を望みますか?」という同じ質問を投げか…

クシシュトフ・キェシロフスキ『異なる年齢の7人の女性』反転図形としての映画

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1979年の短編『異なる年齢の7人の女性』について。短編の中で1週間の時間が流れ、曜日ごとに7人の異なる年齢の女性が映される。女性は全てバレリーナであり、指導される子供に始まり、バレリーナとして舞台で活躍して…

クシシュトフ・キェシロフスキ『ある夜警の視点から』全体主義の構造

クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1977年作『ある夜警の視点から』について。国の制度によるインセンティブによって、国が正しいとするルールを内在化した男を撮ったドキュメンタリー短編。男は夜警であり、国から与えられた役割、国が決めたルールと…