ヌーヴェルヴァーグ前夜

死へと向かう西洋 ー マックス・オフュルス『忘れじの面影』

マックス・オフュルス(Max Ophuls)による1948年作『忘れじの面影(Letter from an Unknown Woman)』について。 シュテファン・ツヴァイクの同名小説を原作とした映画。原作において、手紙を読む男は R. という名前で小説家という設定だが、この映画ではピ…

蜃気楼としての過去、砂漠としての未来 / 大いなる存在の介入 ー ジャン・ルノワール『ランジュ氏の犯罪』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1936年作『ランジュ氏の犯罪(Le crime de Monsieur Lange)』について。 出版業界の大物バタラは詐欺のような方法で人々から金を巻き上げている。バタラはフリッツ・ラングにとってのドクトル・マブゼのような、悪…

精神性を抜かれたフロンティアスピリット ー ジャン・ルノワール『南部の人』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1945年作『南部の人(The Southerner)』について。 精神性を抜かれたフロンティアスピリット 「こいつら嫌いだわー!」って思いながら嫌々撮ってる感が映像から溢れ出してるように感じたけど、どうなんだろう。映画…

イメージと現実の狭間で ー ジャン・ルノワール『浜辺の女』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1946年作『浜辺の女(The Woman on the Beach)』について。 イメージと現実の狭間で 元海軍である主人公は魚雷で船を破壊される夢を見続けている。翻訳では省略されていたが、海沿いの町の警備隊員である主人公は自…

ジャック・ベッケル『偽れる装い』における装うことの持つ意味

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1945年作『偽れる装い(Falbalas)』について。 装うことと映画監督 ファッションデザイナーであるフィリップは彼にとってのミューズを探し続けている。ミューズと見做した女性を見る時、フィリップは現実世界の…

『エドワールとキャロリーヌ』の姉妹作としてのジャック・ベッケル『エストラパード街』

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1953年作『エストラパード街(Rue de l'Estrapade)』について。 『エドワールとキャロリーヌ』との比較 話の骨格や緩いリズム感含めて『エドワールとキャロリーヌ』とほとんど同じ映画。『エドワールとキャロリ…

リズムのズレと断絶 ー ジャック・ベッケル『エドワールとキャロリーヌ』

ジャック・ベッケル(Jacques Becker)による1951年作『エドワールとキャロリーヌ(Edward and Caroline)』について。 リズムのズレと断絶 上流階級出身のキャロリーヌと貧しいピアニストのエドワールは仲が良さそうに見えて、価値観が全く噛み合っていない…