アメリカ映画

死へと向かう西洋 ー マックス・オフュルス『忘れじの面影』

マックス・オフュルス(Max Ophuls)による1948年作『忘れじの面影(Letter from an Unknown Woman)』について。 シュテファン・ツヴァイクの同名小説を原作とした映画。原作において、手紙を読む男は R. という名前で小説家という設定だが、この映画ではピ…

蜃気楼としての過去、砂漠としての未来 / 大いなる存在の介入 ー ジャン・ルノワール『ランジュ氏の犯罪』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1936年作『ランジュ氏の犯罪(Le crime de Monsieur Lange)』について。 出版業界の大物バタラは詐欺のような方法で人々から金を巻き上げている。バタラはフリッツ・ラングにとってのドクトル・マブゼのような、悪…

精神性を抜かれたフロンティアスピリット ー ジャン・ルノワール『南部の人』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1945年作『南部の人(The Southerner)』について。 精神性を抜かれたフロンティアスピリット 「こいつら嫌いだわー!」って思いながら嫌々撮ってる感が映像から溢れ出してるように感じたけど、どうなんだろう。映画…

イメージと現実の狭間で ー ジャン・ルノワール『浜辺の女』

ジャン・ルノワール(Jean Renoir)による1946年作『浜辺の女(The Woman on the Beach)』について。 イメージと現実の狭間で 元海軍である主人公は魚雷で船を破壊される夢を見続けている。翻訳では省略されていたが、海沿いの町の警備隊員である主人公は自…

フィル・ティペット『マッドゴッド』を読み解く

難解なフィル・ティペット(Phil Tippett)による2022年作『マッドゴッド(MAD GOD)』の内容を読み解いていきます。ネタバレがあまり関係ない映画ではありますが、気になる方は見た後に読んでください。 繰り返されるバベルの塔 この映画の監督が実写映画に…

ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』直線的な移動が象徴するもの

ポール・トーマス・アンダーソン監督による2021年作『リコリス・ピザ』について。広告が主軸としておかれており、この映画で描かれるアメリカにおいては芸能人や商品のPRとして自己増殖していく擬似イベントが根付き切っている。理想がイメージに置き換えら…

『トップガン マーヴェリック』トム・クルーズによる映画製作の継承

ジョセフ・コシンスキー監督による2022年作『トップガン マーヴェリック』について。マーヴェリック=トム・クルーズとしてトップガンに絡む過去の関係性を清算しつつも自身の映画製作を次世代へと継承していく映画となっている。

『ソー:ラブ&サンダー』ヴァイキングと国家 / アイデンティティの再獲得 / 続編に向けて

『ソー:ラブ&サンダー』は何を語ろうとしていたのか。神と人間、そしてローマの神とヴァイキングの神という対比、そしてソー及びアスガルドのアイデンティティの再獲得を軸に、続編がどういう話になるかを含めて書いています。

バズ・ラーマン『エルヴィス』雑感

映画全体のナレーターがエルヴィスプレスリーのマネージャーとなっていて、そのマネージャーの病床での回想という形で映画が始まる。そのマネージャーはエルヴィスプレスリーを搾取していてその死の原因もそのマネージャーにあると考えられていることが語ら…

バーバラ・ローデン『WANDA / ワンダ』映画的な出来事

状況に対して何もできず流されるしかない、それに対して諦めていて何の感情も抱いていない、周囲の人間たちから諦めている主人公が映画的な出来事に巻き込まれるようになる。そこで関係性や自身への肯定を得たことによって、その後も変わらない流されること…

ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ』人類の星の時間 / 瞬間を記録する映画雑誌

ウェス・アンダーソン監督による2021年作『フレンチ・ディスパッチ』、そのモチーフとなっているだろうシュテファン・ツヴァイク『人類の星の時間』について。大枠は『グランド・ブダペスト・ホテル』と同様に、多様で理想郷的なコミュニティが失われてしま…